柳宗理のスプーンは日本人のためのスプーンである

10年以上使用していたスプーンをなくした。
数年に一度、使い捨ての容器とともにカラトリーを捨ててしまうことがあるので、今回も捨ててしまったのだろう。
最近キッチン用品を柳宗理で統一していたのでスプーンも柳総理のものを購入した。

スプーンは一般的にスプーンの先端と柄をつないだ線が長軸になるような楕円のような形になっている。
簡単に言うと先端が尖った形になっている。
欧米ではスプーンの先端部分から口に差し入れる運用をするため、この形状が食べやすい構造となっている。
一方、日本ではスプーンの楕円の短軸の点となる部分、つまり横から口をつける。(カレーを食べる時を想像してほしい)
よって、欧米のスプーンは日本人の運用とはあっておらず使いにくい。

柳宗理のスプーンは先端が尖っておらず、少しばかりスプーンの横の部分が尖っている。
このため、スプーンの横から口をつける日本人にとってはとても使いやすいものになっている。

逆に言えば、このスプーンは欧米人には使いにくいのではないだろうか。
この製品はターゲットを日本人に絞るというマーケティングと伝統的な欧米のスプーンと日本での運用法の差を理解した上でのプロダクトデザインが綺麗に結実した物だと思う。

これは日本人のためのスプーンである。