人工知能で10億円ゲットする完全犯罪マニュアルを読んだ

得体のしれない犯罪者と落ちぶれたAIエンジニアが犯罪をしていく話。
バディモノのクライムアクションという、それだけで面白いに決まってるじゃんという作品。

SFにしては実在の人工知能の技術やGitHubなどの固有名詞、イニシャルトークではあるがM社だのG社だのが出てくる。
SFにこうした時事性があるテクノロジーを出すと、SFでありなら現実に取り残されるという事が起き、個人的に好きではない。
しかし、この作品においてはこの部分が鍵になっている。
主人公はエンジニアであり、たとえ犯罪計画であっても、技術的な側面から口をはさまずにはいられない性格をしている。
この小説手に取る人間はおそらく、人工知能に関心があり、主人公と同じように、技術的な側面の話をされたら口をはさまずにはいられないだろう。
こうして、読者は主人公に対して強制的に没入させられる。
この部分でこの小説には、あえて現実のテクノロジーを出す意味がある。

AI関連の技術は陳腐化しやすい。
小説に出てくるモデルの名前が、懐かしい遺物になってしまう前に読まなくては、ただの時代遅れの時事ネタを使って滑っている小説になってしまう。
そういう意味では賞味期限がついている小説なので、早めに読んでもらいたい。